僕立図書館

大学生のぼくの読書、映画日記

恋愛寫眞 もうひとつの物語

恋愛寫眞 もうひとつの物語  市川拓司

〜あらすじ〜

カメラマン志望の大学生・瀬戸誠人は、嘘つきでとても謎めいた女の子・里中静流と知り合う。誠人はかなりの奥手だったが、静流とは自然にうちとける。そして静流は誠人に写真を習うようになる。

やがて誠人は静流に思いを告げられるが、誠人にはずっと好きな人がいて、その思いを受け取ることはできなかった。

一年後、卒業を待たずに静流は姿を消した。嘘つきでしょっちゅう誠人をからかっていた静流だったが、最後の大きな嘘を誠人についたまま....。

 〜感想〜

どうせ叶うことがないなら、この思いを大切に温めておこう。

主人公・瀬戸誠人は奥手であり、片思いのベテランだった。僕自身、片思いの経験が多く、彼の考えには共感を覚えられ、自然と感情移入ができ、スラスラと読むことができた。

「ーーー好きな人が好きな人を好きになりたかったの.....」

静流は誠人に好きな人がいるということを知った上で、誠人に思いを伝えました。好きな人が好きな人(物)を好きになりたい、というのは誰しもが思うことでしょう。僕は静流の言葉を自分に重ねて、胸を痛めながら読んでいました。

「世界がもっと単純ならいいのに」
「どういうこと?」
「だから、私はあの人が好き、そしてその人も私のことが好き。それで成り立っているから難しいのよ」
「そうだよね」
「私はあの人が好き。それだけで成り立つなら、すごく簡単なことなのに」
「うん、ぼくもいつもそう思ってる」
「それなら、世界の恋は全て成就するわ」
「片思いの惑星?」
「そう」
「その星でなら、私も誠人ももうこれ以上なにも望む必要もないのにね」

この誠人と静流のやり取りが、堪らなく好きです。静流は病気で自分に終わりが近づいていることに気づいていました。だから静流は嘘をついて、彼の前から去りました。誠人は静流がいなくなって初めて自分の思いに気づいきました。誠人と静流は二度と会うことはありませんでしたが、最後に真実を全て知り、2人の片思いは終わりを迎えたのです。

悲しい終わり方でしたが、悲しい恋愛しかしてこなかった僕にはすごく共感が覚えられ、また青春を謳歌してた頃の甘酸っぱい気持ちを思い出させられました。

恋愛小説をあまり読まない僕が、なぜか手に取ったこの本。凄く良い作品だと思うのでオススメです。

追記:この小説、実写映画化しているそうです。

恋愛寫眞―もうひとつの物語 (小学館文庫)

恋愛寫眞―もうひとつの物語 (小学館文庫)